POCKET MONSTER TRAINERS
第1話 「旅立ち」





ピピピピピピピピピピピピピピピ・・・・・・・・

朝、うるさいほどに電子音が鳴り響いている。その部屋にはポケモングッズがいたるところにある。
そして、部屋の入り口から一番遠いところには1つのベット、その中で少年はまだぐっすりと眠っている。
そのベットの隣には蛍光灯や目覚まし時計がおいてある台があった。
その台の上には、先ほどの2つのほかにもう1つ、写真たてがあった。
その中に入っている写真には3人の男の子が写っている。
黄色と黒の帽子を逆にかぶり、赤がメインの服を着て、黄色のベースに黒いラインの入ったハーフパンツをはいている子と、
赤い髪に黒い服、グレーのズボンを身に着けている子、そしてうす紫色の髪をして、
水色の瞳を見せている青い服を着た子。どの子も6,7歳と言った年に見え、3人ともが無邪気に笑っている写真だった。

「う〜〜ん・・・・・」

ベットで寝ていた少年がやっとのことで目覚める。
少年は目覚まし時計のアラームを止め、ベットから少しはなれたところにあるクローゼットの前へと歩く。
そして寝ぼけながらその扉を開け、今日着る服を取り出し、着替え始める。
赤がメインの服に黄色をベースに黒いラインの入ったハーフパンツ・・・この少年のお決まりの格好だ。
この少年こそ、あの写真に写っていた帽子をかぶった男の子、ゴールドである。
ゴールドはあくびをすると、目をこすりながら部屋を出て、1階のリビングに向かう。リビングには朝食をすませた母がいた。

「おはよう、母さん。」

その声に気づき、母は笑顔で言葉を返す。

「おはよう。よく眠れた?」

その「よく眠れた?」のところに反応し、少し考えてから口を開く。

「・・・6年前の夢を見たよ。タツキがスピアーに襲われたあの日の夢。」

「そう・・・」

その言葉を聞いた母は少しくらい顔になる。しかし、すぐにもとの明るい顔に戻って言葉を続ける。

「確かその日だったわよね?ゴールドがポケモンチャンピオンになってやる!って言い始めたのは。」

「そうだったね。」

ゴールドがオムレツを口に入れながら答える。

「でもよかったじゃない。今日から念願のポケモントレーナーよ。」

「・・・・うん・・・・。」

うれしいはずなのに元気なく答え、うつむくゴールド。それには、ゴ−ルドが忘れたくても忘れられない出来事がかかわっていた。

「そんなくらい顔してないの!ほら、朝ごはん。食べ終わったらちゃんとしたくしてウツギ博士の所へ行くのよ。」

声をかけても、ゴールドの様子は変わる気配を見せない。母は何かゴールドを元気にさせるものはないかと考える。
そして、あることを思い出す。
パタパタと言う音を立てながらリビングを出て行き、5分ぐらいしたころにもどってきた。
その手には、20センチ四方ぐらいの箱が握られていた。

「はい。ポケモントレーナーになった記念に。」

そういいながら母は箱をテーブルに置く。その箱の表面には青い文字でこう書いてあった。

”トレーナーの必需品 ポケモンギア! 〜ブラックバージョン〜”

それを見たゴールドは、箱を手に取りまず眺める。その目はらんらんと輝いていた。
ポケモンギア、略してポケギアは時計や電話機能はもちろんのこと、タウンマップを見れたり、ラジオを聞けたりする。
箱に書いてある通り、トレーナーの必需品なのだ。

「ホントにいいの!?」

ゴールドが母に向かって問う。母は笑顔で答える。

「もちろんよ。さあ、元気出して。」

その言葉を聞いたゴールドは少し照れている様子だった。

「へへへ、ありがとう。母さん。」

すでに朝食を取り終えていたゴールドは、タッタッタッタッとリビングをあとにし、自分の部屋へと向かった。
自分の部屋に戻ってきたゴールドはボフッと音を立てて、ベットに飛び込んだ。
そして、もらったばかりのポケギアの箱を開け、本体を眺める。眺めている顔はうれしさに満ちていた。

「やっぱカッコイイじゃん!」

一言だけ感想を言うと、起き上がり、箱の中から説明書を取り出す。説明書を見て、ポケギアのスイッチを入れる。

ピッ・・・

初めて立ち上げたので、まだ時計すらも設定されていない。
ゴールドは説明書を見ながら時計を合わせたり、家の電話番号を登録したりした。

ピッ・・ピッ・・・ピピーーー

「ふう、終わった終わった。」

10分ぐらい経っただろうか?ゴールドは設定を終わらせたポケギアを自分の左腕に取り付ける。

「これでよし。あとは・・・」

ふと辺りを見回したときに、ベットの横の台においてある写真たてが目に留まる。
ゴールドはその写真たてを無意識のうちに手に取る。その写真たてには幼い自分と親友が写っている。

「タツキ・・・・。どこに行っちゃったんだよ。
せっかく、一緒にポケモントレーナーになって旅ができると思ってたのに・・・。」

ゴールドの目に涙があふれてくる。

「戻って来いよ・・・。」

ゴールドは気持ちを落ち着かせようと何度か深呼吸をした。

「・・・・・・・・・・・」

静寂という名の下で、ただ写真を見つめている。
しかし、悲しい思いを振り切り、決意を固める。
そしてゴールドは思い出の写真たてをリュックの中に入れる。

「一緒に・・・行こう・・・・。」

ただ一言。実際には生きているかもわからない親友に向かって。
ゴールドは無言のまま帽子をかぶり、リュックを背負い、部屋をあとにした。
数ヶ月間・・・・・いや、どれだけかわからない時間、見なくなる自分の部屋を見つめながら・・・。

タッタッタッタッ

1階へ下りると、母が玄関で待っていた。

「気をつけてね。」

母が一言だけ言う。

「うん。まめに電話はするからさ。」

ゴールドは、靴をはきながら、あえて母の顔を見ずに答える。
その言葉を聞いた母は少し元気な声になってゴールドに話しかける。

「そうよね。会えなくても、電話で話せるものね。」

「うん。」

ゴールドはそう答えて立ち上がる。それを見た母が今までと変わらない言い方で見送る。

「行ってらっしゃい。」

ゴールドは少しきょとんとしたが、すぐに元気よく答える。

「うん!行ってきます!」

ガチャッ

ゴールドは勢いよく、普段となんら変わりない元気な姿で家を出た。


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あとがき

短いっ!プロローグに比べるとかなり短い!
しかも会話が多い・・・・。うう・・・・・・。
とにかくがんばります。(何を)

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