第6話「ポケモン ゲット!!」





29番道路。ワカバタウンからヨシノシティへ向かうときにかならず通る道。
その道路のワカバに近い広場で、3人のトレーナーが無言で木陰に腰を下ろしていた。

その場には、ただ、静寂があるのみ・・・・3人の声はしない・・・・・

と、

グギュウゥ〜〜〜〜〜〜〜・・・・・

「え?」

シルバーとクリスが、突然した音に反応する。

「あ、ごめん・・・。おなかすいちゃったみたいで・・・・」

ゴールドが、恥ずかしそうに言った。
シルバーとクリスは、その様子を見て口元を緩めた。

「ふふふふふ・・・・」

「あははははははははは・・・ゴールドらしいや!はははははは!!」

クリスは、少し笑うのをこらえているが、シルバーはもう腹を抱えて大笑い。
おそらく、昔からゴールドはこうなのだろう・・・

「もうっ!二人ともそんなに笑わないでよ!」

ゴールドは頬を膨らませて、いかにも不機嫌そうな態度を見せる。

「ごめんごめん、じゃあ、お昼にしようぜ。ゴールドもクリスも弁当もって来てるだろ?」

「もちろん!」

「私も持ってきてるわ。」

ゴールドもクリスも、笑顔で答える。それにつられてシルバーも笑顔になり、にっと笑って言った。

「じゃあ決まり!」

そして、ゴールドとクリスはリュックから、シルバーはボディバックから弁当を取り出し、ほおばりはじめる。

「やっぱ、母さんのおにぎりはおいしいや。」

ゴールドが口いっぱいにおにぎりを入れてもごもごと言う。
そんなゴールドを見て、2人はまた、クスクスとゴールドに見られないように笑っていた。



そして、全員が食べ終わっておなかも落ち着いたころ。

「よし、そろそろ出発するか。ヨシノまでは12キロぐらいだから、ウツギ博士の言ってた通り夕方にはつくだろう。」

シルバーが立ち上がり、服についた草などを払いながら言った。
ゴールドとクリスも立ち上がり、うなずく。

「それじゃぁ、出発ぅ〜。」

ゴールドの声と共に3人は歩き出し、改めてヨシノシティを目指す。



そのころ、ヨシノシティポケモンセンター。

青い上着を着ている、17,8歳に見える男がロビーにあるテレビ電話で会話をしていた。
相手はあの、オーキド博士のようだ。

「博士、先日の調査データ届きました?」

「「29番道路のポケモンの種族」じゃな?いま、ウツギ君のものを見せてもらうよ。」

「はい。」

オーキド博士が聞いてきた事に、男はうなずく。
そして、電話の向こうのオーキド博士は、なにやら書類を持ってきてぺらぺらと中を見ている。

「うむ、これはなかなかの研究資料になりそうじゃの。確か、明日かあさってにはキキョウ周辺の調査に行くんじゃったな?」

「ええ、一応今の所は、明日の午後にキキョウシティに向かってヨシノを出るつもりです。」

「そうか、では次の報告を楽しみに待っておるよ。木葉君。」

「はい、それでは。」

そう言うと、男は受話器を置き、会話を終わらせた。
そのとき、ポンッと男の肩に手が置かれる。
振り向くと、そこには赤地にクリーム色の模様の入った帽子をかぶった男がいた。

「ん?なんだ、お前か・・・・。」

「なんだとはなんだよ。せっかくポケモン達を連れてきてやったってのに・・・・・・」

青い上着を着た男は、赤い帽子をかぶった男が差し出している手を見る。
その手にはモンスターボールが5つあった。

「あ、サンキュッ!あれ?ピカチュウは?」

「ああ、あそこ。」

赤い帽子の男はポケモンセンターの入り口近くにあるいすを指差す。
そこには白地に赤いラインの入った帽子をかぶった女とピカチュウがいた。

「なるほど・・・・。」

青い上着の男はちょっと暗い声で言った。

「そう言えば、オーキド博士いたのか?」

「ん?ああ、いたよ。ナナミさんの言った通りウツギ研究所にいた。」

青い上着の男は何かを思い出したように付け加える。

「そう言えば、ウツギ博士からポケモンをもらって旅に出たトレーナーが3人いるんだってさ」

「へぇー。じゃあ、今日の夕方ぐらいにはここに来るのかな?」

「だろうな。あ、そうそう、その3人オーキド博士からポケモン図鑑をもらったんだと」

その言葉に赤い帽子の男は目を見開いた。

「オーキド博士がポケモン図鑑をあげたぁ!? その3人に?」

「ああ、ヨシノにも行くだろうから、そのときにあって見てくれってさ。」

「まさかまた3年後に博士が図鑑をトレーナーに上げるとは・・・・。3年周期だな。」

「ホントだな。」

どうやら、3年前にもポケモン図鑑をもらったトレーナーがいるらしい。
2人は、それらのことを話し終わるとあの白い帽子の女のところへとあるいて行った。


29番道路

ゴールドたち3人は、ワカバタウンから2,3キロの地点にある草むらをあるいていた。

「う〜ん、ポケモン出てこないかなぁ」

「何言ってんだよゴールド。野性のポケモンなんか出てこないほうが、ワニノコ達の体力が残せておけるからいいだろ?」

「そりゃそうなんだけどさぁ〜・・・・・」

ガサガサッ

ゴールドが言葉を言い終えたと同じくらいに、3人のまわりの草が音を立てた。

「!?」

3人が背中を合わせてモンスターボールを構えたところに、野生のポッポがゴールドの前に現れた。

「!?ヒノアラシッ!」

ゴールドは反射的にモンスターボールからヒノアラシを出す。

「ヒノッ」

「ヒノアラシ、倒さないくらいにたいあたり!」

ヒノアラシは、ゴールドの声を聞くとたっと地面をけり、ポッポにたいあたりをかました。
ポッポは一瞬よろめくが、すぐに体勢をたてなおし、お返しと言わんばかりにヒノアラシにたいあたりをする。

「ヒノアラシ、もう一度たいあたり!」

ヒノアラシはポッポのたいあたりをまともに食らっていたが、ゴールドの声を聞くとすぐにポッポに向かって行った。

ドンッ

ヒノアラシのたいあたりが急所に当たったようだ。
ポッポはかなりのダメージを受けている。

「それじゃ、そろそろかな・・・。」

ゴールドはつぶやくとポケットの中から空のモンスターボールを取り出す。

「よーし!いっけーーーっ!」

ビュンッ

ゴールドが、ポッポめがけて思いっきりモンスターボールを投げる。
ポッポはよけようとしたがかなりのダメージを受けているためよけることができず、モンスターボールにあたってしまう。

シュゥゥゥゥ・・・・・・

モンスターボールがひらき、ポッポを赤い閃光が包む。
そして、ポッポを中に入れたモンスターボールはカタカタと音を立ててゆれている。

カチッ

そんな音と共にモンスターボールのゆれがとまった。

「や・・・・・やったーーーー!!ゲット成功!」

ゴールドは、動きがとまったボールを拾い上げ、握り、嬉しさをかみ締めていた。

「ちぇっ・・・・ゴールドに先越されちまったな。」

シルバーが悔しそうにつぶやいた。
クリスはそんなシルバーを見てクスッと笑っていた。

「まあいいや。ゴールド、初ゲットおめでとう。」

「サンキュッ、シルバー。」

ゴールドはお得意の無邪気な笑顔を見せていた。

「さて、十分喜んだところでヨシノに向かうぞ。」

シルバーがそっけなく言った。やはり、ゴールドに先にポケモンをゲットされたのが悔しいのだろう。
シルバーはそれ以上言わず、歩きはじめた。

「あ、待ってよぉ!シルバー!」

ゴールドもクリスと一緒に、シルバーのあとをおった。

「ゴールド君、結構うまかったよ。ゲットのしかた。」

クリスが笑ってゴールドに言う。ゴールドは少し照れながら「ありがとう」とつぶやいた。

そんな3人の様子を木の影から見ている15歳ぐらいの少女がいた。

「アレがゴールドとシルバー・・・・・・・なかなかいい腕をしていそうじゃない。」

果たして、彼女は敵なのだろうか、それとも味方なのだろうか・・・・・
物語の歯車は、まだ動きはじめたばかりである。



TO THE NEXT


あとがき
う〜ん・・・・・やっぱりバトルが入る話って短くなるなぁ(汗)
ま、とりあえずゴールドの初ゲットです。ちょっと言葉が変だったりしますが・・・・・・・。

次回は、いよいよ木葉兄弟が本格的に出る予定です。
では、また次回お会いしましょう♪

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